0

緋い魔女 Act 23

1人そうこぼすナツィを見つめながら、グレートヒェンは不意に口を開いた。
「…私だってそうよ」
ふと、ナツィはちらっと顔を上げる。
グレートヒェンは気にせず話を続けた。
「人々が私に向けるのは、大抵奇異の目か羨望の目だったわ」
そう呟いたグレートヒェンは、後ろの本棚に寄り掛かる。
そして淡々と語り出した。
「…私の家はね、所謂有名な魔術師の一族じゃなくて、細々と代々魔術師をやっている平民の一家なの」
表向きは人里離れた山の中で、猟師をやって生計を立てている家なんだけどね、とグレートヒェンは付け足す。
「でも魔術師としては比較的優秀な部類らしくて、ついでに一族に伝わる特別な魔術があるから、時折父親が依頼を受けては貴族みたいな身分の高い人達の所へ出掛けていったりしてたわ」
グレートヒェンの話に対して、ナツィはふと質問する。
「…お前はその特別な魔術とやらを知ってるのか?」
グレートヒェンはいいえ、と苦笑した。
「あれは一家の長子にしか教えられないらしいわ…私は2番目だしついでに女だから教えてもらえないみたい」
そう言って、グレートヒェンはナツィに向き直る。

レスを書き込む

この書き込みにレスをつけるにはログインが必要です。