「とりあえず、私は比較的庶民的な魔術師の家に生まれた普通の子…になるはずだった」
でもそうはいかなかった、とグレートヒェンは苦笑いする。
「自分にはそんな自覚はないんだけど、私にはかなり小さかった頃から他の兄弟姉妹より魔術の才があったみたいなの」
そう言ってグレートヒェンは話を続けた。
「それに気付いた父親がその気になっちゃって、他の子ども達より色々と魔術について教え込んでしまった」
その結果…とグレートヒェンが言いかけた所で、ナツィはぽつりと呟く。
「…今のように、神童扱いされるような奴になった、と」
まぁそうね、とグレートヒェンは返答する。
「それで片付けられれば良かったんだけど」
グレートヒェンは呆れたように言った。
「風の噂で広がったのか、あちこちの魔術師の間で私の存在が知れ渡るようになったわ」
その内に、とグレートヒェンは話を続ける。
「…私の力を見たい、そう言う魔術師や貴族なんかが私を自らの元に呼び出したりするようになったの」