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緋い魔女 Act 32

罠、とナツィは反復する。
「あの精霊、私達の前に現れてもすぐに姿を消してしまったでしょう?」
だから逃げないように、人間にも見える状態で捕らえておくの、とグレートヒェンは続ける。
「そして捕まえた所を倒すのよ」
グレートヒェンは得意げにそう言った。
ナツィはふーん、と頷く。
「さすがに1日でかかるとは思ってないけど、罠は複数作るつもりよ」
でも牧羊地なんかに作ると何も知らない一般人に危害を与える可能性があるから、人のいない森にだけ張るわ、とグレートヒェンは言う。
ナツィは黙って聞いていたが、グレートヒェンが話し終えた所でこう尋ねた。
「お前、精霊を見える状態で捕らえておくって言ってたけど…わざわざお前が見えるカタチにする必要ある?」
俺なんて大抵の精霊は普段から見えているし、俺が"アレ"を倒すのならお前に見えなくても問題ないだろ、とナツィは真顔で言う。
「別に良いじゃない」
グレートヒェンはつまらなそうに答えた。
「ちゃんと精霊を倒したか確認する必要だってあるし…それにお前、昼間の時は精霊が姿を現してから気付いてたじゃない」
グレートヒェンにそう指摘され、ナツィはぎくっ、と気まずそうな顔をする。

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