「…っ!」
ナツィは思いっ切り鎌を振って精霊を払いのける。
精霊はそのまま後ずさった。
「厄介な奴」
ナツィはそう言って大鎌を構えた。
「随分と急ね…」
グレートヒェンはそう呟きながら立ち上がる。
「一番近くの罠まで、”奴”を誘導するわよ!」
グレートヒェンがそう叫ぶと、ナツィは微かに頷いた。
そして精霊に斬りかかった。
だが精霊はその攻撃をいとも簡単に避けていく。
「この野郎!」
ナツィは再度飛びかかったが、今度は何かに弾き飛ばされた。
「魔力障壁⁈」
マジかよ…とナツィは宙を舞いながら呟く。
文字通り魔力で出来た防御壁である魔力障壁を野生の精霊が使うだなんて、聞いたことがない。
アレはやっぱり人工物、とナツィは雪原を転がりながら思った。