「とりあえず」
グレートヒェンは身体に付いた雪を払いながら立ち上がる。
「…やるわよ」
そう言って、グレートヒェンはナツィの方を見た。
ナツィは黙ったまま頷くと、また精霊に斬りかかった。
精霊は再度魔力で壁を作り出す。
ナツィはまた魔力障壁に跳ね返されるが、今度はその反動を利用して高く飛び上がった。
目の前にいた敵が突然消えて混乱するような素振りを見せる精霊に、次は別方向から斬撃が襲う。
「あら」
精霊が向いた方には、短剣を持ったグレートヒェンが立っていた。
「私の事を忘れていて?」
グレートヒェンは手に持った短剣で宙に術式を描いた。
術式が完成すると、そこから火球が打ち出された。
もろに攻撃を食らった精霊は、唸り声を上げながらグレートヒェンに飛びかかろうとする。
「させるか‼」
グレートヒェンを襲おうとした精霊に対し、ナツィは上空から鎌を振り下ろした。
精霊はすんでの所で回避する。