一人の帰り道。
数ヶ月前までは、”彼”も一緒だった。
小林隼人。
コバヤシハヤト。
極度の人見知りの私に毎日飽きることもなく声をかけてくれた人。
大抵の人は、話しかけても反応出来ない私のことを
「つまらない奴」
と判断して離れていくのに、”彼”だけは毎日話しかけてくれた。
”彼”は「モテる」側の人間に入っていた。
”彼”に恋する女子は私のクラスにも数人いた。
優しくて、文武両道で、悪口に乗ることもなく、
顔も整っていて、自分から目立とうとしない人。
私も密かに想いを寄せていた。
3ヶ月くらい前から何となく流れで一緒に帰るようになり
隙あらば告白しようかと考えていた時もあった。
でも出来なかった。
”彼”はお星さまになってしまった。
悲しくて、でも誰にも相談出来ない私が
教室で泣いていた時に、
”彼”はいきなり私の前に姿を現した。
「なに泣いてんの」