お星さまになった”彼”が目の前に現れてから、
放課後が楽しみになった。
夕日が沈むまでの間が、私と”彼”が話せる時間だと知らされた。
「なに泣いてんの」
と彼が以前のように話しかけてくれることが
とても嬉しかった。
文芸部の活動も、私だけ教室でするようになった。
始めの頃、”彼”は
「やり残したことがあったから来てん」
と言った。
そして昨日、”彼”は消える前に言った。
「僕もう来れへんかも
やり残したこと、出来たもん
詩(うた)に気持ち伝えられたしさぁ」
「まぁ、な、一人で泣いてても似合わんし
笑ってな、笑顔似合ってるぞ~」
それから一週間経っても、”彼”は現れなかった。
本当に一人になってしまった教室で、
隼人からもらったノートを広げる。
冷たい風が頬を刺す。
今日は何を書こう。そろそろ吹っ切らないとな。
隼人が戻って来る訳でもないんだし、、
また、泣きそうになる。
泣かない。私には笑顔が似合うらしいから。
私は、今日も教室で詩を創る。
紡げ、詩。
【終】