ありがとう。そう言えず流れる日々。誰の助 けも借りず、手から離れた君に捧ぐ。今日の お弁当は誰のために作っているのだろう。冷 めきった空箱に涙がたまる。一歩一歩前に行 こうとするつもりが進まない。空でも見よう と外に出ると思い出す無限の繰返し。冬のそ よ風は凍みる。あの日も寒かった。陽に当た ろうとカーテンを開くと、最近よく見る子供 の甲高い声がする。重い腰を上げて一周忌の 儀式に向かう。ありがとう。寒気が走った。