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すりぬけるもの。

両手からこぼれるそれは、私がつかんだ光の様で、哀れに下へと落ちてゆく。
あの夜感じた貴方との温度、おなじだったはずなのに、冷めきって今じゃあもういない。
思い出だけが音を立てて鮮明に巻き戻される。
ぎこちなく動くのは、まるで昔の映画のよう。
心だけは確かじゃなかった。

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