布団より足先の冷える、ある夜半。 赤ペンの紙に擦れる音がする。 書いた直線、×印。 こんなものか、 とあざ笑う。 布団より足先の冷える、ある夜半。 怒りは明かりに溶けてゆく。 もう寝なさいと声がする。 指先だけがあたたかい。 布団より足先の冷える、ある夜半。 どこにも私は、いやしない。 私を私と認める君は もうどこにだって、いやしない。