「でも、いくら仲が良くてもあえて知らないままにしてる事もあるんだけどな~」
暗黙の了解的な奴で、と耀平は続ける。
「だからあんまり黎に干渉し過ぎるなよ」
異能力の存在全般に言える事だが、と付け足す耀平の顔から微かに笑みが消えた気がした。
…確かに、”常人”であるわたしが異能力に関わり過ぎてしまうのは、少しアウトかもしれない。
でも、それはそれで楽しいと思うから、わたしは彼らと関わっているのだけど。
「…あ、そう言えば黎」
不意に何かを思い出したようにネロが言った。
「”ロヴィン”見つかった?」
黎はちらっとネロの方に視線を向ける。
「…まだ」
ネロはそっかーとだけ答えた。
何の話してるんだろ、とわたしはつい思った。
しかし、ちょうど師郎が何やら喋り出したので、そちらの方に意識が向いてしまい、すぐにその事を忘れてしまった。