その方法が見つかれば…と思いながら雨が降る街中を歩いていると、ちらりと裏路地が目に入った。
「…?」
何か、知っている人影がそこにいた気がして、思わず二度見した。
…確かに、後ろ姿しか見えないけれど、路地に誰かがいる。
「…」
そこにいるのは誰なのか、つい気になってしまった。
「…」
気付けばわたしは裏路地に足を踏み入れていた。
こちらが近付いても気付かないのか、人影は建物の壁に寄り掛かって動かない。
2、3メートル程路地に入って行った所で、そこにいるのが誰なのか何となく分かった。
…確実に面倒になる事は分かっていたし、わたしの見間違いかもしれない。
それでもその名を呼ぶ事にした。
「黎?」
人影は動かない。
聞こえていないのかな、と思ったがわたしはある可能性に気付いた。
まさか、と思ったが、一応”その手”を使ってみる事にした。
「…”サイレントレイヴン”?」