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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 7.サイレントレイヴン ⑲

「そもそも黎は人と関わりたがらないし」
そうなの?とわたしは聞き返す。
「ボクらにも何でだか分からないけど、黎は人と関わるのが嫌いっぽい」
…そーだよね、とネロは黎の方を見やる。
黎は恥ずかしそうにちょっとうなずいた。
「過去に何かあったのかもしれないけど…ボク達が知る領域でもないし」
ネロの発言を聞いて、わたしはふと思った事を口に出した。
「ネロの能力でその辺分かったりしない?」
ネロは嫌そうな顔をした。
「…いや、それはちょっと」
どうして?と聞くと、ネロはだってさ、と呟く。
「友達の記憶は無闇に見るものじゃないし…」
ネロは続ける。
「それが原因で相手のトラウマを掘り返したら悪いし」
確かに、とわたしはうなずく。
トラウマや嫌な記憶を知られるのは弱点を晒すようなものだ。
それに、知られる側も傷つくだろうし。
「だから、ボクは友達の記憶を無理に漁らない」
それがボクの流儀だし、とネロは言った。

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