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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 8.イービルウルフ ⑧

「えーと、あの人は…」
わたしが恐る恐る尋ねると、あぁと師郎は答えた。
「アイツが俺に”果たし状”を突き付けてきた奴、”稲荷 鏡子(いなり きょうこ)”」
俺とは小学校の頃からの付き合いだ、と師郎は紹介する。
「そう、私が稲荷 鏡子…って彼女が噂の?」
稲荷さんが聞くと、そうだなと師郎は答える。
「コイツが今噂の異能力を知ってしまった一般人だ」
「あ、どうも」
急に師郎に紹介されたのでわたしは慌てて自己紹介した。
「不見崎 清花(みずさき さやか)です」
ふーんと稲荷さんは顎をさする。
「…で、誰が異能力の事をバラしてしまったのかしら~?」
稲荷さんがネロの方に目を向けると、ネロは慌てて耀平の陰に隠れた。
「べ、別にわざとじゃないから」
たまたまだし、とネロはそっぽを向く。
稲荷さんはふふふと笑った。

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