「だって本当にただの一般人だったもの」
もしかしたらとは思ってたけど…異能力持ってないのね、と稲荷さんは笑った。
「うぐっ」
わたしはついうろたえた。
改めて普通の人、と言われるとなんだか刺さる。
「じゃ、じゃあ、ネロ達は最初からこの事を分かってたの?」
わたしがそう聞くと、ネロはまぁねと言った。
「最初っからアンタがターゲットだって知ってて審査してた」
そうだな、と耀平も同意する。
「それにしても、アンタの逃げ惑う様子、面白かったな~」
ネロはニヤニヤしながら言った。
「確かにな~」
「よく逃げてた」
耀平と黎もうなずく。
「そんなぁ~」
わたしは思わずその場に座り込んだ。
知らない間に騙されていた、という事実はわたしにとって中々のショックだった。