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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 9.エルフ ④

わたしは思わず立ち止まる。
相手は咄嗟に目を逸らした。
「…」
わたしは暫く相手の姿を眺めていた。
白いブラウスに黒いスカート、赤い紐リボンと、近くの高校の生徒だろうか。
高校の制服姿の少女は、気まずそうにそっぽを向いている。
あまりにも気になり過ぎて、わたしは思わず声をかけてしまった。
「あの…どうかしました?」
少女はい、いえ、と上ずった声で答える。
「別に…何でも…」
何だか失礼な事をしてしまったな、とわたしは思った。
どう見ても相手はビックリしているし。
「何かすみません…急に話しかけたりして」
わたしはすぐに謝ったが、相手には届いていないようだった。
「何でも…何でもないんです!」
少女はそうとだけ言うと、駅の出入り口の方へ走り去って行った。
…何だったんだろ。
わたしは暫し呆然とその場に立ちすくんでいた。

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