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幸せと言う

「はるのお花に人は引き寄せられるんだねえ」
「だからはるのお花は人を食べればいいとおもうよ」
「人を食べて、食べて、食べて、たらふく食べて。そうしてなつも、あきも、ふゆも乗り切るの」
「食べた分だけ、奇麗に色づくのだろうねえ」
「そう、そうよ。きっと奇麗だわ。そうして人はまた引き寄せられて、おはなはまた、人を食べられる」
「わたしも食べられて、きれいなおはなの色になれるなんて幸せねえ」
「きっとそれは幸せなことよ」
「きれいなおはなをほころばしませ、きっと次の年には、わたしの色をしたおはなに誰かが身を狂わせて、おはなに食べられるの」
「それはきっと美しいこと、ああ、そうなったら、あなたの色をしたおはなを食べたいわ」
「あなたのおはなを口とお腹にめいっぱい詰めて、そうしてあなたのおはなに食べられたいわ」
「きっとそれは幸せね、わたしも、あなたも」
「ええ、きっと」
「わたしとあなたの色をしたおはなは、息ができないほど、身を震わせて止まないほどに奇麗だろうねえ」
「ええ、きっと」

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