太陽が高く上った昼下がり。
人里離れた森の片隅に小さな屋敷がある。
その屋敷の一角にある部屋で、机に伏している者がいた。
「…おーい」
起きて、と揺すられるが、その人物は顔を上げる気配はない。
「起きないの~?」
暫く揺すって、やっとその人物は顔を上げた。
「何か用?」
無理やり起こされた事に不服そうな顔をしながら、その人物は傍に置いておいた眼鏡を掛ける。
「やっと起きましたね」
ずっと揺すっていた人物はうれしそうな顔をする。
「ねぇ”ぼす”…外へ出ましょうよ?」
「断る」
”ぼす”と呼ばれた人物は、間髪入れずにそう行った。
「だってめんどくさい」
「そんな事言われても」
ずっと室内にいたら身体に悪いですよ~と金髪の人物は”ぼす”を揺する。
やめなさい、と言いながら”ぼす”と呼ばれた人物は相手を諫めた。
「どーせ、天使共がわたしを探しているから、外に出たって…」
襲撃されるくらいならここにいた方がマシ、と”ぼす”と呼ばれた人物はそっぽを向いた。
えー、と金髪の人物は不満そうな顔をする。
「もし天使に遭遇してもボクやアモンがどうにかするから大丈夫だよー」
だから外に出よーと金髪の人物は”ぼす”の腕を引っ張る。
ちょっとベベ…と”ぼす”は嫌そうな顔をした。
すると部屋の入口から声が飛んできた。