さっき声がした方へアモンが走ると、そこには2つの人影があった。
1つは眼鏡をかけたルシファー。
もう1つは見慣れないブロンドの髪の人…
いや、その背中には白い羽が生えている。
「うっ…」
アモンは思わず後ずさった。
長いブロンドの髪に立派な服装…何度か聞いたことがある。
ソイツの名前は…
「…みーちゃん」
その場に座り込んだルシファーは震える声で呟く。
みーちゃんと呼ばれた天使はうふふ、と笑った。
「久しぶりね、ルシファー」
そう言ってルシファーに近づこうとしたした。
すると上から誰かがサーベル片手に突っ込んできた。
「うちのぼすに手を出すなぁぁぁぁぁ‼」
すんでの所で”みーちゃん”は回避する。
飛び込んできたベリアルは”みーちゃん”の前に立ちはだかった。
「うちのぼすには指1本触れさせない!」
例え相手が天使長ミカエルであっても!とベリアルは相手を睨みつける。
「あら」
ベリアルじゃない、とミカエルは驚いたような顔をする。
「久しぶりね、どれくらいぶりかしら?」
勝手に堕天して以来ね、とミカエルは微笑む。
「…そんな事はどうでも良い」
とりあえずうちのぼすから離れて!とベリアルは怒鳴る。
「嫌よ、だって…」
ミカエルはニコリと笑う。
「ルシファーを取り返しに来たもの」
その言葉と同時に、ばっとベリアルの周囲に何人かの天使が飛びかかる。
とっさにベリアルは攻撃を避けようとするが、すぐに取り押さえられてしまった。
「ぼす!」
慌てて叫んだがもうすでに遅かった。
ミカエルはほんの一瞬の隙を突いてルシファーに飛びついた。
「ひっ」
ルシファーは後ずさるが、それも虚しくミカエルに抱きしめられてしまった。
「ああわたしの愛しのるし…」
言いかけた所で、ミカエルは背後に気配を感じた。
ぱっと後ろを見ると、剣を持った人影が飛びかかってきている。
「…」
ミカエルはどこからともなく大剣を出し、振り向きざまにそれを振るう。
キーンと剣同士がぶつかり合う高い音が響いた。
「まぁ、悪魔の癖に天使を気に入ってるなんて」
「とりあえずソイツから離れろ」
アモンは目の前の天使を睨みつける。
ミカエルはふふふふふ、と笑うと大剣でアモンを振り払った。
「ぐっ」
アモンは勢いのまま後ずさる。