「復讐を代行?どういうつもりだ?俺はそんなもの望んでないし、矢面に立つのはまっぴらごめんだ」
「別に逆恨みの矢面にするつもりじゃないわ、それにそんな悪い話でもない」
「いや、今のところ怪しさしかない、この状況含めて」
「まぁとりあえず人の話を聞きなさい、私達のクラスにヒエラルキーがあるのはあなたもご存知でしょ?あれのせいで私のようにレッテルを貼られた人間は『陽キャに遊んでもらえる』という立場で“イジり”を受け入れなければならないのが現状。かと言ってヒエラルキーを崩すだけの力もなければ改革を起こすだけの人数を集めることすら叶わない」
まるで小さい政党の演説を聞いている気分だった
「しみったれた言い訳だな、何が言いたい?」
思わず口を挟んでしまった。
「結果、“陽キャ”にとって都合のいい現状に泣き寝入りすることしかできないでいる。」
“俺”、もとい闇子は語気を荒らげて言い切った。
「そこで内部崩壊を狙って俺の体に目をつけた…」
「順序が若干違うけどね」
「え?」
「あの日、あなたが罰告をすることになったことを知って私はこの復讐を決行することにした。あなたとなら私の復讐を、理想を成し遂げられる!そう思った!」
(勝手に)ヒートアップした熱量を持った目が俺の方に向いた。その迫力に一瞬たじろいたが、平静を装い見つめ返した。
「理想?また随分飛躍したな」
“元々飛躍してるのに”という言葉は何故か飲み込んでしまった。
「飛躍?どこが、まさか私が単純な恨みで復讐しようとしてるとでも思ったの?」
違和感が何か形を結んだ気がした。
「理想のための復讐…」
「そうよ!」
完全に“俺”のペースになっていた。
「このヒエラルキーを崩壊させるにはトップがその解放を宣言すること、そしてそこに誰も下克上を望まないことのふたつが揃わなきゃいけない。そのためには今のような安定したトップが必要、」
「なら俺でなく、橘を狙う…いや、実質“陰キャ”をイジっているのは小橋か…」
いつしか俺も積極的に意見を出すようになっていた。
「あんたバカなの?だからあんたしかいないんでしょ?」
「はぁ?」
to be continued…