へ…と恵梨さんはぽかんとする。
「あくまで異能力者としての自分は自分の別側面であって、自分じゃない」
”それ”は自分じゃない自分なんだから囚われるのはよくねーんだよ、とネロは続ける。
「過去の自分に囚われるのと同じ位、異能力者としての自分に囚われると面倒な事になるんだ」
分かってんのか、とネロは恵梨さんを睨みつける。
恵梨さんはひぃぃぃ、とうろたえた。
「分かったんなら良いんだけど」
そう言ってネロは恵梨さんに顔を近付ける。
「…お前、友達いないの?」
「え、何でそんな事」
どうして分かるの?と聞かれて、ネロはこう答えた。
「いや、追跡中にアンタの記憶を見て何となく分かった」
友達いなさそうだなって、とネロは笑う。
「…だから黎と接触して友達になろうとしたんだな」
耀平がそう言うと、恵梨さんは気まずそうな顔をした。