「とにかく目立って欲しいの、私たちが入れ替わってるなんて誰も気づかないし思いつくはずもない、だから私にあいつらの目を引き付けて欲しい、そしてできるなら奴らの弱みになりそうなこと、この際、いじめの決定的証拠でもなんでも構わないわ」
「とにかく目立てって、ここまでは用意周到だったのにここだけ急に人任せだな」
ここまで惹き込まれていた自分が情けなく感じられた。
「しょうがないでしょ!自分なんてどうなったっていいっていうメンタルで考えてたんだから!」
さっきまでの毅然とした態度から一転普通の女の子のような甘え様だ。とはいえ、自分の姿でやっていることがどうしても気になってせせら笑うことすら叶わない。
なんとももどかしい…というか気持ち悪い。
「はぁ、まぁ俺のやることはわかったよ、どちらにせよお互いのことを知らなければこの計画は成功しない。下手なバレ方をして面倒なことになるのも避けたいから、お前のことを一通り教えろ、学校での振る舞いはもちろん家の事、家での会話、部屋の使い方、その他諸々だ」
理想やら革命やらという輝かしい言葉に失望した途端に冷静になって必要なことが次々に思いついた。
「やっぱり話して正解だった、私だけじゃ私を大切にできない…だからあなたの…他人の体なら、きっとまだ生きたいって思えるって…」
“俺”は泣きそうな顔だった。
「でも出来なかった…結局私は私のことが嫌いで!自分じゃない誰かになりたくて!自分の体を誰かに押し付けたかっ…」
自分でも何故かわからなかった、しかし俺、もとい私の体は“俺”の体を抱きしめていた。
“何をしている…?俺の意思?違う…体が…勝手に…”
「何?あなた、そんなに優しかったっけ?」
「勘違いするな、俺じゃない、優しいとしたら…」
お前だ、という言葉は出す前に飲み込んだ。
言ってしまったら関係が変な方向に行ってしまう
そんな気がしてならなかった。
to be continued…