M市基地男子寮のとある一室
隼斗は先程から隣でずっと机に顔を埋めたまま、1ミリも動かないルームメイトをあっけに取られながら見ていた。
事の顛末は簡単に言えばこうである。隼斗が部屋の自分のベットで寝ていると、ルームメイトである優樹が帰ってきたのだが…。どこかいつもと様子が違う。なぜなら、いつも誰よりも冷静沈着でほとんど無表情、無感情なあの優樹が若干頬を赤らめ、かつ微笑みながら、帰ってきたのである。それも、束の間、一瞬で無表情に戻り、そのまま机に突っ伏した。彼をこんなにも動揺させているものは一体なんなのか、隼人はただただ、気になるばかりだが、あいにく本人は微動だにせず、早30分が経った。個人の事情を探るのはあまりしたくはないが、長年、苦楽を共にしてきた仲間として、優樹をこんなにも動揺させているものが気になった隼斗は意を決して声をかけることにした。
「なぁ、優樹、あのさ、ちょっと、聞きたいことが…」
「隼斗〜!!助けてくれ〜!!」
「うん!?」
優樹に抱きつかれるままに、勢いで激しい音ともに隼斗は床にぶっ倒れたのであった。