とてもひさしぶりにBUMP OF CHICKENを聴いてみたら、BUMP OF CHICKENを聴いていたことを思い出した。景色は全部忘れたから、映像は映画からの借り物だけど、深夜だからかも知れないが、少しアンニュイに浸っていた。
あれからぼくも悲しいことがそこそこあって、ひどい裏切りの慰めかたも勉強した。かき集めて絞りとって捨てるときの料金も、並べて数えて管理するコストのやりくりも、人を傷つけて覚えて笑った。
青さに任せたむちゃくちゃが、横暴さに変わることに涙も出なかったし、寂しさを慰める薄紅色のメロディが、思い出の建物を鉄筋から粉砕することに驚いた。友達は減る分増えていって、増えすぎたときに減っていく。腹の底から嫌いな人と、食べる飯がなぜか旨くて不思議だった。
前だけ見られるほど足跡は綺麗じゃなくて、振り返ってはみるものの、あまりに照明が眩しすぎるから、全ての影が真っ黒で恐ろしかった。
これからぼくはどうにかして生きなきゃならない。青さを捨てる勇気もなけりゃ、真っ青に燃え尽きる根気もない。どっかに出掛けた夢が戻らないから、探しに出たまま戻れなくなった。
愚かなぼくにBUMP OF CHICKENがなにかを歌う。恋人の手を握り締めろって言っている。友達を殴って殴り返されろって言っている。
さようならとうたっている。離れたくないと泣いている。
ひさしぶりの声とひさしぶりの旋律が、わけのわからぬなにかを呼んだ。
人は匂いで記憶を呼び覚ますらしいです。音楽も同じですよね。変わってしまうのは当たり前で、でもまだ受け止めきれない自分がいて、久しぶりの声に気持ちが揺さぶられる。昔、よく聴いていた曲は過去の自分そのものなのかもしれないですね。