鱗 円ことウロボロスを追いかけ始めて暫く。
わたし達は路地のあちこちを歩き回っていた。
時々気を抜いてしまって、1人だけ違う方向へ向かってしまったりもしたけれど、とりあえずは同じ所を通らずに済んでいる。
だが、今回探している人物は中々見つからない。
「…見つかりそう?」
わたしはつい気になってコマイヌに尋ねる。
コマイヌはうーんとうなった。
「さっきから痕跡は追えてるんだけど…相手が移動してるみたいで中々追いつけない」
まだ時間がかかりそうだな、と彼は苦笑いした。
「早い所とっちめよーよ」
ネクロマンサーはそう言ってコマイヌの服のすそを引っ張る。
コマイヌはそうだなと答えた。
「あ、ちょっとコマイヌ」
ふと師郎がコマイヌに呼びかけた。
「ちょっと…良いかな?」
師郎は横道を親指で指し示した。
コマイヌは最初、何だかよく分からなかったようだが、すぐにあー分かったと返事した。
その様子を見て、師郎は黎と共に横道へと向かった。