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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 10.ウロボロス ⑳

「何してんのよそこで!」
少女はずかずかと円に歩み寄る。
円はげ、環(たまき)…と後ずさった。
「ケンカは良くないって何度も言ったじゃない!」
そう言いながら、環と呼ばれた少女は円の耳を引っ張る。
「痛ててて」
もう何よみっともない!と環は円の腕を掴んだ。
そのまま環はその場から去ろうとしたが、ふとわたし達の方へ目を向けた。
「…ウチの円がすみません」
迷惑だったでしょう、と環はちょっと頭を下げる。
「え」
「別にアンタが謝らなくても」
皆は思わずそう言ったが、環は相変わらず申し訳なさそうな顔をしていた。
が、すぐに円に向き直ってこう言った。
「…とにかく、帰るわよ!」
環は円を引きずるようにその場から去って行った。
「…」
わたし達は突然の出来事に暫くポカンとしていた。
「…何だったの、今の」
「ははは」
わたし達は暫しの間、その場で立ち尽くすばかりだった。

〈10.ウロボロス おわり〉

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