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見える人々 その②

中に入ってみたものの、やっぱり廃墟にしか見えない。そして、部屋の真ん中ではトモちゃんがすやすやと寝息を立てていた。
「なんで居んだよ……」
男性が溜め息を吐き、トモちゃんの脇腹を軽く蹴って起こした。トモちゃんが身体を起こすと同時に、あの不気味な腕がぞろぞろと彼女の周囲に揺らめき始める。
「……あの、あれ、見えます?」
少女にそっと尋ねてみた。少女は一瞬驚いたようだったけれど、すぐ囁き返してきた。
「……もしかして、あのもやもやが見えるんですか?」
もやもや? こちらからははっきりと青白い腕たちが見えているだけなんだが、どういうことなのだろう。
「えっと……見えている形は違うっぽいけど、多分見えてます」
とりあえずそう答えておく。
「ふむ? よく分かりませんが、とりあえず仲間がいるっぽくて安心しました」
「こちらこそ」
少女と握手を交わす。
「……そういえば、自己紹介がまだでしたね。私はミヤシロといいます。都道府県のミヤギと同じ字です」
手を離した後、少女―宮城さんは思い出したようにそう名乗った。
「宮城さんね。私はミヤザキです。サキは山が冠になってるやつ」
「宮嵜さんね。よろしくお願いします」
ふたたび握手。一瞬視界にノイズが走った気がしたけれど、多分気のせいだ。せっかく友達ができたのに変なことに気を取られたくない。

  • 能力モノの小説を書きたい欲が高まって来たので
  • 宮城さんは見える人
  • 2人とも下の名前は考えてない
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