何が起こっているのか分からなくて、わたしはそれ位しか言えなかった。
「え、俺?」
少年はポカンとする。
「まぁ…通りすがりの人間だよ」
そんなに怪しい奴ではないさ、と少年は笑った。
「はぁ…」
呆れ果てたわたしはそれしか言えない。
「…で」
何で君はそんなに逃げるんだい?と少年はわたしに聞いた。
「ちょっと話をしようとしか言ってないのに」
君ちょっとビビり過ぎじゃない?と少年は言った。
「いや、だって…」
わたしは引き気味で呟く。
「…どう見ても怪しい人じゃないあなた」
わたしの発言に対して、少年はうーんと首を傾げた。
「本当に怪しい奴だと思うかい?」
ほぼ初対面なのに、と少年は続ける。