「人の本性なんて案外分からないものだろう?」
「そんな事言われても」
わたしは思わず言い返す。
「怪しいと思うものは仕方ないでしょう?」
彼が不気味に思えて来たわたしは、彼の横を通り過ぎようとした。
しかし、彼が立ち塞がって来た。
「おっと」
少年はわざとらしくそう言う。
「こっちの話はまだ終わってないぞ?」
少年はそう言って笑った。
「良い人のように見える奴が案外そうでもなかったり、逆に怪しく見える奴の方が意外と良い奴だったり…そんな事もあるんだぞ」
だから俺も、君が思うより怪しくなかったり…と少年は続ける。
「えぇ…」
わたしにはそれが単なる言い訳のようにしか聞こえなかった。