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黄昏時の怪異 その②

「千葉さんもやっぱり、その、能力者ってやつなんですか?」
「うん、まあそうだけども」
千葉さんはそう言って、肩掛け鞄からボール状のものを取り出した。
「それは?」
「大きい鈴だよ。触ってみる?」
そう言われて差し出された鈴を受け取る。両手にすっぽり収まるくらいの、そこそこのサイズの鈴だ。振ってみると、からからちりちりと鳴る。
「はい、大きい鈴でした」
「うん」
滅多に見ないものではあるけれど、長いこと遊んでいられるようなものでも無かったので、すぐ千葉さんに返すことにした。
「さて……僕の能力ってやつを簡単に説明すると、まあこういうことになる」
千葉さんはその鈴を右手で軽く放り投げ、左手でキャッチした。
「……? 何かおかしなことでもありましたか?」
「あれ、気付かなかったか……。それじゃあ、これなら分かりやすいかな」
千葉さんはそう言いながら、鈴を顔の辺りの高さで振ってみせた。
「……あ、音が鳴ってない!」
「正解。まあ言ってしまえば、『音を立てない能力』だ。ちなみに、この鈴ちょっと面白くてね、鳴り物の代わりに小さな鈴が中に入ってるんだ」
「へー」
不思議な鳴り方をするとは思ったけど、そういうことだったのか。
「まあ、こんな一発芸程度にしか使えないつまらない能力だけどね。よろしく」
「そんな、謙遜じゃないですか。よろしくお願いします」

  • 能力モノの小説を書きたい欲が高まって来たので
  • 千葉さん:音を立てない
  • 防犯砂利が無意味になるホラー能力
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