家の近くまで千葉さん達に送ってもらい、二人と別れた。家までは50mも無いとはいえ、さっきまで3人だったということもあって少し寂しい感じがする。
ふと、背筋に寒気が走って背後を振り返った。別れてから数秒しか経ってないはずなのに、あの二人の姿はもう見えない。どこかの角を曲がって建物の陰に隠れてしまったのか?
何となく嫌な感じがする。昨夜、宮城モドキを見つけた時に似た感じだ。あの時はオバケの存在を認識していなかったからほとんど自覚も無かったけれど、多分この感覚は、オバケに出会った時の感覚なんだろう。
こういう時って、家に逃げ込んで良いものなんだろうか。オバケを家に連れ込むことになったりしたらマズいかもしれない。けれど、他に良い逃げ場が思いつかない。幸いにも、家まではすぐだ。走れば5秒かそこらで着くはずだ。
覚悟を決めて、自宅に向けて駆け出す。それと同時に、周りの空気が変わった。確かに何かが背後にいて、追いかけてきているというのが分かる。それだけじゃない、今いる位置と家までの短い距離にも、何かが潜んでいるのが分かる。何か嫌なものが隠れているっていうのが『見える』んだ。これが霊感なのか。
自分より前にある嫌なものは回避して、とにかく走る。背後の気配は少しずつ近付いてきている。私より足が速いみたいだ。
(けど……この距離なら、私の方がぎりぎり速い!)
家の敷地に飛び込もうとして、咄嗟に足を止め、通りを再び走り出す。
「ひ、卑怯だ……! 待ち伏せなんて……!」
家の扉の前に、真っ黒な人影が立って待ち構えているのが見えたんだ。けど、現状何よりの問題は、ここから先は2本の道に分かれていて、その両方が割とすぐ行き止まりになっているってことだ。
(どっちの方が長かったっけ……、いや、どちらにしろ追い詰められるのは目に見えてるし、それを考えても仕方ない。どうしよう……)
とりあえず、それぞれの道の奥にあるものを思い出してみる。右の道はたしか、一軒家が4軒か5軒。左の道は、たしか古いアパートが1棟あったはず。
(……もしかして、あっちなら)