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視えるモノ その①

あの化け物との遭遇事件から1週間後。期末テストのせいでしばらく能力者の皆さん、そして宮城さんにしばらく会えなかったけれど、久しぶりにこの溜まり場に来ることができた。
「……ん、どうも、宮嵜さん。お久しぶりです」
「ん、お久しぶりです、宮城さん」
久しぶりに出会う宮城さんは、以前と変わり無い雰囲気で安心できた。
「そうだ、聞いてくださいよ宮城さん。1週間前、一緒に帰ったでしょう?」
「はい、そうですね」
「別れた後、変な化け物に会ったんですよ。怖かったです……」
「化け物? どんなのですか?」
あの後、記憶を頼りに描いたスケッチを鞄から取り出し、宮城さんに見せた。
「何度か夢に見たくらい、強烈な出来事でしたよ……」
「どれ……うっ」
絵を見た宮城さんは、短く呻いて顔を顰めた。そうしたくなる気持ちはよく分かる。かなり気持ち悪い姿の化け物だったし。
「こんなの見たことも聞いたことも無いですよ……」
「私だってあの時が初見でしたよ」
「あれ、二人とも中に入らないの?」
突然、トモちゃんが会話に割り込んできた。彼女は私たちのすぐ背後まで音も無く近付いてきていて、それはつまりあの謎の腕たちも目の前まで迫っていたということで、それが見える私と宮城さんは驚いて飛び退き、扉に勢い良くぶつかってしまった。
宮城さんはそれで更に悲鳴を上げ、私の腕を掴んでその場に倒れ込んでしまった。私も巻き込まれて彼女に覆い被さるように膝をつく。
「わぁ、驚かせちゃったみたいでごめん。でも、そんなに驚くところだったかなー……」
「い、いえ、突然だったもので……」
私はどうにか答えて立ち上がろうとしたけれど、宮城さんにすごい力で引き留められて動けない。
「宮城さん、放してくださーい」
彼女は無言で首を振り、まったく手を放そうとしてくれない上に、力はどんどん強くなっている。
「手ぇ貸そうか?」
トモちゃんが提案してくれたけど、丁重に断っておく。彼女に近付かれるのは、今の宮城さんにとってはきついだろう。
「私が落ち着かせるので、どうぞお気になさらず」
「そぉ? それじゃ、またね」
トモちゃんが部屋に入って行ったところで、ようやく宮城さんは落ち着いてきて、手も放してくれた。
「宮城さん、落ち着きましたか?」
「は、はい。ご迷惑をおかけしました……」

  • 能力モノの小説を書きたい欲が高まって来たので
  • 本シリーズ七不思議1:トモちゃんの背後の謎の腕
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