「宮城さん、もしかして、何か見えているんですか?」
トモちゃんだけに驚いたとは思えない動揺の仕方。宮城さんの能力から考えるに、そういうことなんじゃないか。そう思って尋ねてみた。
「はい、あの、そこの扉、あるじゃないですか」
宮城さんは部屋の扉を指しながら言った。
「はい。それが何か……」
「あの扉の外に向いてる方。その全面を、人の身体のパーツっぽいものが覆っているように、私には見えてるんです」
そういえば、彼女が自分で扉を開けているところをこれまで一度も見たことが無い。
「パーツっていうと、それはつまり……?」
「……どちらかというと、内側に隠された部分がメインですね」
それはつまり、臓も……いや、やめておこう。
「うえぇ……そりゃ、扉にぶつかった時にあんな反応にもなりますね……」
「はい……。宮嵜さんには見えてないんですか?」
「残念ながら……」
「ふーむ……。これは、宮嵜さんの能力を考察する手掛かりになりそうですね。とりあえず、扉開けてくれませんか? 今お話しした通り、私にはちょっとできないので」
宮城さんの話を聞いたばかりだと気が引けるけれど、私には見えていないし、見えないなら存在しないも同じだろう。現に他の人は普通にこの扉を開閉している。何より、このままでは宮城さんが困ったままになってしまう。
扉を開けて、宮城さんが中に入るのを待ち、自分も部屋の中に入って、扉を閉めた。