溜まり場には、さっき入って行ったトモちゃんと家主の男性、最初に会ったあの少女、知らない少年がいた。
「宮城さん、あれ、誰です?」
「知らない人です。初めて見ました。私も宮嵜さんと最初に会った1週間前くらいに仲間に入ったばかりなので……」
「あー……」
なるほど、私たち2人とも揃って入って日が浅いわけだから、知らない人がいてもおかしくないのか。
「話しかけに行きます?」
「別に良いですよ面倒くさい。同年代の野郎ってあんまり好きじゃ無いんですよね……」
どうやら宮城さんは、あの少年には興味が無いみたいだ。しかし、少年の方は同年代の私たちに興味を持ったのか、こっちに近寄ってきた。
「うわ……」
「そんな引かなくても……」
あからさまに嫌そうな顔をしている宮城さんにも構わず、少年は馴れ馴れしく私たちに話しかけてきた。
「なあ、お前らも能力者なんだろ? どんな能力なんだ?」
「…………」
宮城さんは少年を完全に無視して少し伸びた手の爪を見つめている。
「ああ、ごめん、自己紹介が先だよな。俺は岩室弥彦。よろしく。能力は……」
少年が自己紹介を終える前に、宮城さんはその場を離れてしまった。