弥彦氏に連れられ、例の部屋に入る。玄関には大小さまざまなサイズの靴が全部で6組。
「めっちゃいるじゃん……」
「いや、もう少し多い日もあるし、このくらいなら割と平均的な感じっすよ」
「マジか。結構デカい集まりだったりする?」
「そっすね」
「わーお」
弥彦氏に続いて居間に入る。家具が一つも無いのにはビビったが、それを無視すると最初に目に入ったのは、部屋の隅に腕を組んで立っている20代半ばくらいに見える男性だった。さっきのトモちゃんと違って、ストレートに怖い目つきでこっちを睨んできている。
周囲を見回すと、続いてさっきのトモちゃんを発見。隣の部屋であの女子二人組と何やら遊んでいる。
「どうも、新入り連れてきました」
弥彦氏がそう言って俺を指差した。最初に反応したのは、トモちゃんだった。
「あれー、さっきの人じゃん。新入り? でもその人って……」
「おっと、まさか俺の力を疑っているんですかい? そいつは心外だなァ」
トモちゃんの言葉を遮り、ハッタリを開始する。
「聞いて驚け。……俺には、降霊術ができる」
飽くまで自信満々に。すると意外や意外、反応したのはあの二人組だった。
「降霊術……?」
「それ、本当ですか?」
「お、おう勿論。みんなも名前くらいは知ってるでしょう、『コックリさん』ってんですがね」
あの二人が、警戒しながらもこっちにやって来た。
「やってみてください」
2人組のうち、目つきの悪い方がそう言った。