「あ、いっすよ。さて、ご存じの通りこのやり口、一人じゃできないくせに部外者もいちゃいけないわけなんですが……協力してくれる方、いませんかね?」
「私たちは当然、参加しますが」
目つきの悪い方が言う。もう一人も力強く頷いている。まさかの同好の士か?
「私もやるー」
トモちゃんも乗ってくれた。
「トム、どうだ?」
弥彦氏に呼びかける。
「……あ、うん、やる」
彼がそう答えた直後、二人組が露骨に嫌そうな顔をしたけど、多分気のせいだよな?
「……俺は興味無い。1時間も席を外してりゃあ足りるか?」
怖い目つきの男性がそう言ってきたので肯定で答える。彼はそのまま出ていってしまった。
「それじゃあ……全部で5人。すぐ準備しますんで、少々お待ちください」
肩掛け鞄から、専用の紙を入れたクリアファイルを取り出す。
「え、何、その紙持ち歩いてんの……」
弥彦氏がやや引いた感じで訊いてくる。
「そりゃ勿論。呼ぶ手段も祓う手段も常に持ち歩くようにはしてんのよ」
「へぇ……」
床に直接用紙を置き、鳥居の絵の上に財布から取り出した10円玉を乗せる。偶然にも昭和44年製のやつだった。これは上手くいきそうだ。
「まあ、準備なんてこれっきりなんで。さ、10円玉に指を置いてください」
俺に続いて、二人組、トモちゃん、弥彦氏、双子が10円玉に指を置く。
「……ん?」
最後に指を置いた二人の方をもう一度見る。弥彦氏や2人組よりも更に幼い、ギリ小学生か中学1年生かってくらいの二人組。男女だけど結構似てるから多分双子。向こうも見返してくる。
「……誰?」
いや、そういえば靴の数と人数がこれまで合ってなかったな。こいつらが残りの二人か。