師郎はこちらをちらと見る。
「おや、お前さん気付いていなかったのかい?」
あれ俺が化けてたんだぜ、と師郎は両目を暗緑色に一瞬光らせる。
「そ、そうだったの…」
わたしは思わずポカンとする。
「まぁ、それはそうとして」
師郎はりいらちゃんの顔を覗き込む。
「…とりあえず、事情聴取と行きますかね」
りいらちゃんはひぃぃぃとすくみ上がった。
寿々谷公園の川沿いのエリアにある土手にて。
午後7時を回った所なので、もう花火が打ち上がり始めていた。
「はい、ラムネ」
わたしは土手の斜面に座る小柄なうさ耳パーカーの少女にラムネを手渡した。
少女は黙ってそれを受け取る。
「ねぇ、りいらちゃん」
どうしてあんな事してたの?とわたしは尋ねてみる。