儀式が始まった。3度目の呼びかけで、効果が動き始める。ずっ、ずっ、って感じで、少しずつ動いている。
(……宮城さん)
彼女と目が合う。彼女は微かに首を横に振った。
(……つまり、霊の類は来てないってことか)
一応、こっちでも気にかけてはいるけど、あの双子が発する謎のオーラが邪魔で上手く判別できない。流石に神様を自称するだけはある。
あの不審者が質問を投げかけた。無くし物がどこかなんて、くだらない質問だ。
質問が終わって1秒くらい経って、指の下で硬貨が勝手に動き始めた。
(か、は、いや、カバン……の、そこ。底?)
こっくりさんは見事に答え、説教まで残していった。宮城さんに目をやると。泣きそうな顔でこちらを見ながら首を横に振っている。
念のためにトモちゃんの背後の腕たちを見てみるけど、ゆらゆらしているだけで硬貨には干渉していない。
(じゃあ、何が硬貨を動かしてるんだろう……?)
解答が終了し、硬貨はいつの間にか鳥居へ。
「はいはい! 次わたしがやる!」
硬貨に置いていない方の手を上げて名乗りを上げたのは、謎オーラの双子の片割れ、陽菜ちゃんだった。不審者が促したので、陽菜ちゃんは身を乗り出して質問を開始した。