「コックリさんコックリさん。わたしたちのこと、怖い?」
モジヒナは不敬にもとんでもない質問を放ってきた。指の下の硬貨はしばらく動かなかったが、数秒経ってようやく、動き出した。
硬貨が進む方には、「いいえ」の文字が。しかし、道半ばで止まり、反対方向へ動き始めた。
そして、あと1,2㎜で「はい」の文字に硬貨の端が触れるってところで、また硬貨が止まり、鳥居に戻って動かなくなった。
「……強がりだね」
「強がってるね」
「意地張ってるね」
「誇り高いね」
「でもちっぽけなプライドだよ」
「簡単にへし折れるね」
モジヒナとモジミチルは何やら勝手に言い合っているが、こっくりさん相手に滅茶苦茶無礼だな……。呪われても知らないぞ。
「鳥居に……戻ってるね。じゃあ次の人どうぞー」
モジヒナが言うと、後はよくあるこっくりさんの流れになった。みんなでおっかなびっくりこっくりさんに質問しては、答えていただき、答えに盛り上がり、鳥居に戻っていただく。
大体全員2周くらいしてからそろそろお帰りいただこうという話になった。
こっくりさん、こっくりさん、どうぞお戻りください。
硬貨はしばらく鳥居から動かなかったものの、モジ兄妹(姉弟?)がもう一度唱えると、自然に「はい」まで動き、その後鳥居まで戻った。
「こっくりさん、こっくりさん、ありがとうございました。お離れください」
最後の呪文を唱えて指を放した。
「……以上、俺の降霊術でした。これが俺の『能力』です。お目汚し失礼いたしました」
深々と礼をしてから、用紙を回収。処理は家に帰ってからゆっくりやろう。
「やー、楽しかったよー。こっくりさんって本当に勝手に動くんだねぇ」
トモちゃんにもご満足いただけたようで何よりだ。
「私達は君を歓迎するよ。……えっと……?」
「そういや、トム以外には自己紹介が済んでなかったっけ。見沼依緒と申します。ミヌマとでもヨリオとでもイオとでも、好きなように呼んでもろて」
「おーけーイオ君。仲間入りおめでとう!」