「それは…」
りいらちゃんは気まずそうにそっぽを向いたので、わたしはそれは?と彼女に近寄った。
「…1人じゃ帰れる気がしなかったから」
あと、大人と一緒の方が怪しまれないと思ったし…とりいらちゃんは恥ずかしそうに言う。
「…なるほど」
想像の斜め上すぎて、わたしはそれしか言えなかった。
でも、言われると腑に落ちるかもしれない。
「ねぇ、この事はママには言わないで」
言ったら許さない、とりいらちゃんは目をネオンイエローに光らせた。
「さ、さすがに言わないよ」
言ったら面倒臭い事になるだろうし…とわたしは続ける。
その言葉を聞いて、りいらちゃんはそう、とだけ答えた。
「…りいら、これから1人なのかな」
暫くの沈黙の後、りいらちゃんは不意にこぼす。
「この街で、独りぼっちなのかな…」