「幸せって何でしょうね?」
名もない花が問いかけます。
「あなたが幸せだと思ったら、それは誰が何と言おうと『幸せ』なんですよ」
桜の花が答えます。
「再来年...また桜さんが咲き誇る時には戻ってこれたら良いな、と思っています。それが僕にとっての『幸せ』ですから」
名もない花は、そう言いました。
「また戻って来てください。次に会える時を楽しみに待っています」
桜の花は、そう返しました。
名もない花は、これからゆらゆら揺れながら、この場所に咲ける日を待っています。
また会う日まで、僕を忘れないでください。
名もない花の名前は、きっと「勿忘草」でしょう。