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備えあれば憂いなし

「ねえ、絆創膏持ってない?」
突然、上から声が聞こえた。
ここは教室。私は一人、読書をしていた。
「持ってるよ!」
本当は今、いいところだったのに。って言おうとしたけど、慌てて口を閉めた。最初の声の主は斜め前の席の男の子。私は何とも思わないけど、意外とモテる。
私はカバンをガサゴソいじった。
「あった!ラスト1枚!」
「ありがとう。これってこうやってはればいいの?」
「たぶん・・・。」
彼は少し不器用な手で膝に貼った。
「実は・・・」
彼が口を開いた。
「君ってなんか絆創膏持ってそうだったから最初に聞いたんだ。」
ドキッ。
最初に聞いたのが私?なんか恥ずかしくなってきた。でも、嬉しい。絆創膏、持ってて良かった。初めて役立った訳ではないけど今までで一番役立って嬉しかった。
褒め上手なんだな。きっと。彼がモテる理由がよく分かった気がした。

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