世界が戦う。 人が人ではなくなり、怪獣のように暴れもがく。 家族、友だち、親戚、知り合い、他人。 自分と同じ人間を目にすると、争う。 人が凶器となり狂気に満ちた目をする。 まっさらな雪も赤い血に染まる。 ある少女が世界の頂上で踊り出す。 その少女の顔は穏やかな笑顔に満ち、涙が光る。 それを人々が見上げ、叫び、涙をぬぐい、叫ぶ。 久々の太陽のあかりに呼吸が苦しくなる。 そして笑みがこぼれる。 笑顔と幸福で満ちたこの世界にもう少女はいない。