あのころの僕に幸せはなかった
幸せが欲しいと叫んだ詩は
その実自己顕示具現の言の葉
「独りの僕」に酔いしれた馬鹿
あのころの僕に幸せはなかった
幸せが欲しいと嘆いた歌は
似たもの同士を引き合わせては
真夜中笑って語らう仲間
あのころの僕は幸せだった
幸せなんだと綴った唄は
いつしか僕から言葉を奪った
満たされたゆえに失う何か
今でも僕は幸せなんだ
けれども二度とは叫べぬ詩が
不幸せゆえの希望とすれば
意図せず心は霧をはらんで
満たされぬゆえの願う力が
あのころの僕を輝かせたか
ただどうしても埋められぬ隙間
僕から離れた美しき言葉
ここにはもうない魂の詩