「ちょっと遠回りになるけどモノレールにする?それとも、地下鉄で直行にする?ペトロナスツインタワーにはこの2通りの行き方があるんだけど、君に任せるよ」
「じゃあ、モノレールにしよっか」
そして、タワーの展望室へ
「アイツにもここの夕焼け見せたかったなぁ…」「え?」
「兄貴、覚えてる?私、好きな人のこと諦めきれないって言って兄貴の告白2回保留にしたの」「そう言えば、あったなぁ…」「その時の『好きな人』と付き合ったはいいんだけど、『君は俺にとって大切なことを理解してくれないのに愛情だけは重いから、もう疲れたんだ。悪いけどもうアプローチしないでくれ。今までの関係も白紙にしてくれ。』って振られちゃったんだ…」「そうだったのか…つらいこと思い出させちまってすまなかった」「兄貴、頭上げてよ。ここ、イスラム圏でしょ?(笑)」「そうだな。現地の人に誤解されたらどうしよう。って言うか、やっと心から笑ってくれたね。まだ会って数時間だけど、こっちは君が作り笑いしてばかりで心配してたんだぜ?」「気付いてたの?」「そりゃ気付くさ。誰だってあんなリアクションされたらな」「そっかwところで今、何時?」「あっ、あと2時間で列車行っちゃう」「夕飯食べて行かないと明日の朝まで飲まず食わず?」「そうだな。とりあえず、急いでセントラルまで戻るよ。ビュッフェだけどマレー料理の品揃え豊富な穴場食堂がセントラルの駅前にあるんだ」
そう言い切る前に、俺たち2人はエレベーターに飛び乗り、駅までの連絡通路を駆け抜ける