「荷物は全部揃ったかい?」「うん!バッチリだよ。」この時点で発車5分前
なんとか予定の列車に間に合ったものの…
「あっヤバいかも」「どうしたの?」「私たち2人合わせて買った切符って、バンコクまで2枚なんだよね?」「俺、分割なんだけどどうかした?」「見てよ、これ」「え?接続ないから深夜は国境の街で11時間待ちだろ?」「私、宿取れなかったから、直通列車予約したんだけど…」「しょうがないなぁ
俺が宿に問い合わせてみるよ」
およそ5分後…
「どうだった?」「なんとかなったよ。俺は1番安い2人相部屋で予約してたんだけど、俺以外のもう1人の人がキャンセルしちゃってアメニティ余ってたんだってよ」「男女同部屋で海外旅行とか、傍から見れば完全に新婚旅行だなw俺、彼女すらいないのになぁ…」「何言ってるの?彼女ならいるでしょ?ヒントは、『小さな恋の歌』」「えっ?本当に俺でいいのか?本気にしちゃうよ?」「むしろ、本気にしてよ。」
およそ一年間、待ち望んだ相手との恋愛成就の代償が宿代一人分だったら、別に痛くも痒くもないな
若いカップルを乗せて、夜汽車はマレー半島西岸を北上する