列車はまだラオス領内だ
「どうして第三者呼ぶことにしたの?私たち2人の旅なのに」彼女はかなり不満そうだ
「中国ってかなりIT産業が進んでて、もう現金使えない店が大半なんだ。それこそ、田舎町の屋台であってもね。中国国民はホテルも列車の切符もみんな国からのQRコードアプリで支払いできるんだけど、中国政府から見た短期滞在の外国人観光客、つまり俺たちみたいな人はそのQRコードとそのアプリを使えないんだよ。だから、決済に協力してくれる人と一緒に動いた方が良いと思ってね。高校2年の頃に意気投合して1番仲良くなった同級生の男子生徒は中国人で向こうの市民権も持ってる人だ。しかも、彼は当局関係者の特権を持っている人だから、彼に協力してもらえればより円滑に旅を進められると思ってね。和諧号という高速鉄道を昆明と上海で乗り継ぐんだけど、その時の入場にはその政府支給のQRコードがない人は面倒な手続きを経なくちゃいけないんだけど、そのQRコード持ってる人に同伴してもらえるとその手続きが簡略化されて北京着いたらすぐに隔日運行のモスクワ行きの列車に乗れるんだよ。だから、申し訳ないけど北京まで辛抱してくれ」俺がそう言うと彼女は「流石私の彼氏だね。そこまで考えてなかったよ」と苦笑いを浮かべている
そして、しっかりしているように見えて意外と抜けているところがあるという共通点が見つかり、お互いに惚れ直して笑っている
ついに、国境まで来た
これから一気に中国領内を約時速300キロの列車で駆け抜けて華北まで向かう
一時的に漢字が見られるが、日本や台湾の漢字とは字体が異なるのでうまく読めるか分からないな