僕がこの世界に来て約半年、訓練を繰り返して飛行機操作も上手になった。そして、僕にも任務の時がやってきた。昭和16年5月、僕は中井中将に呼ばれた。僕が行くと中井中将は、
「お前に出撃命令。重慶への爆撃だ。以上!」
「はい!」
僕は元気よく返事をした。しかし、内心は複雑だった。初の実戦に行けるという気持ちと人殺しをしなければならないという気持ちとが渦巻きあっていた。自分の中で決意した。重慶へ行くと。じゃないと、ここで生活はできない。僕はすぐに爆撃機に乗った。そして、鹿屋を飛び立った。
(今まで触れていませんでしたが主人公のいるところは鹿児島県鹿屋です)
空中で隊列を組んだ。指揮官は筒井少将だそうだ。眼下には、海が広がっている。そして、行先には灯台が見えてきた。そう、枕崎だ。最後の日本の光景である。日本に一度別れを告げて、僕は中国へと進める。