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ユーラシア大陸縦横断旅30

定刻から1時間遅れの午後3時頃、俺たちを乗せたK3列車はは終点,モスクワ・ヤロスラフスキー駅に着いた
2人揃って子供のように目を輝かせている
それもそのはず
モスクワは帝政ロシアの前身、モスクワ大公国時代からのロシアの都であり、帝政時代に北の古都へ遷都された後も皇帝の戴冠式が行われた歴史の街だからだ
ロシア語を読める俺に対し、東京の夜景のように輝く彼女が建物の看板に書いてある文字を読んでくれとせがんでくる
そして,彼女が目的地を見つけてくれた
そこには,Ленинградский вокзалと書いてある
モスクワは列車の方面ごとに駅が分かれていて,その方面にある地域の名前が駅名になっているのだ
彼女が見つけたレニングラーツキー駅はその名の通りレニングラード、つまり古都ペテルブルグ方面へ行く列車の起点なのだ
俺たちはサプサン号でペテルブルグに行き、ペテルブルグで一泊して歴史を肌で感じ、その後寝台列車赤い矢号でモスクワへ戻り、さらにベラルースキー駅前のホテルで一泊して午前11時の寝台列車でベルリンを目指すことになっている
と言うのも、モスクワ〜ベルリン間は片道およそ2日の行程なのだが、俺たちが乗った北京発の列車だとモスクワに定刻に着いても乗り換えには間に合わないので、モスクワに帰ってきた便の折り返しに乗る必要があるからだ
今後の予定を話し合っていると、粉雪がモスクワ市街北東部にある3つのターミナル駅が集まる広場に舞い落ちる
「もう4月の中頃だと言うのに、まだ雪降ってる…故郷の福岡じゃ考えられない…」と彼女が呟く「俺の故郷、東京でも見たことないよ…でも、今頃タシュケントでは綺麗に花が咲いてるんだろうなぁ」と返す
サプサン号の発車時刻が迫っている
そして,3つのターミナル駅が集まる広場で1番北にあるレニングラーツキー駅から15:30発770番列車が一路、サンクトペテルブルク・モスコフスキー駅を目指して走り出す

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