ホテルを出て開口一番、「さっきの虹、まだかかってるよ」と彼女が幼稚園児のように無邪気な笑顔を浮かべてはしゃぐ
「本当だな。こんなに綺麗で長い間かかってる虹は初めてだなぁ。って、あっ…終わった…」俺も興奮していたが、カメラを取り出した瞬間、悪夢のような現実が待っていた
そう,北国のサンクトペテルブルクは年によっては4月の末でも川が凍結するほど寒い日があり、カメラが外の冷気に晒されてバッテリー消耗のペースが早まり、充電切れで作動しなくなった
「終わったってどうしたの?昨日のプロ野球、巨人勝ったんだから、元気出してよ」と彼女が慰めようとしてくれる
「カメラのバッテリー、早くも切れた」そう言うと
「実は、隠してたんだけど、私もあなたと同じ機種のカメラ持って来てるんだ。ただ、カバーはそっちと同じコラボの限定品で2種類あるうち、そっちとは違う方ね」と衝撃の告白が
「そっちが使えそうになるまではこちらで撮って,そっちに転送するね。だから、撮りたいものあったら言ってね。私、頑張っちゃうから」と頼もしい一言が続く
「よし、じゃあ行くか」
「そうだね。帝政ロシア時代の貴族の宮殿の建物とか、この土地に古くからあった要塞跡とか、博物館になってる軍艦アヴローラも見たいね」とこれからどこを巡るのかで盛り上がる
俺たちのサンクトペテルブルク観光は、これからだ